歯の叢生(重なって生える状態)について

歯は顎のアーチの上にきれいにそろって生えるべきものですが、近年犬歯が八重歯に
なったり、その他の歯も、内や外にはみ出して、生えてくるケースが多くみられるようになってきました。

その原因の一つに食べ物が柔らかくなってきたことが、あげられます。

6歳ごろから18歳ぐらいの間に身長が伸び、顔も大人びてきます。大人の顔とは顎が長くなり大きくなることです。

しかしその成長期の食べ物が、プリンやスパゲッティに代表されるように、柔らかくなったためにあごの骨への力のかかり方が弱くなり、あごの形が少し小さくなっています。

しかし、永久歯が生える時、歯の大きさと本数は遺伝的に決定しています。そのためあごのアーチ上には歯が、並びきらない状態になっている方が多くいらっしゃいます。親知らず(1番後ろの歯)はほとんど
が、横倒し状態で犬歯や前歯もきれいに並ばず、少し乱れた形にならざるを得なくなっています。

歯の乱れが小さくある限度以内ならば、IPR(歯と歯の間に隙間を作ること)や臼歯部側方拡大によって、歯列を長くして歯をきれいに並べることは可能です。しかし限度を超えて叢生がある場合はそのまま歯並びをきれいに並べようとすると前歯が前方に出た状態(出っ歯)になってしまいます。

歯がきれいに並んだが何か前歯が出た感じになって、一応矯正が一段落した後、もう少し前歯を引っ込めてほしい要望は結構あるように感じられます。

この要望(きれいな歯並びを得たい。しかし歯は抜きたくない。)は確かに感情的に理解できます。
もう一つご本人が横から見た口元をどう感じ、どうしたいか、という点です。
それから顎が小さくなってきた現代において抜歯をどう考えるかということもありま
す。

これらについて次回また詳しく述べたいと思います。

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