予防歯科
2025/09/19
自分の歯を長く保つための予防歯科
「虫歯や歯周病で歯を失ってほしくない」という想いから、当院では予防歯科に力を入れています。
特に20代以降の方には、若いうちから歯の健康を意識していただきたいところですが、若い時期は自分の歯について深く考えないことも多いかもしれません。多くの方は体調が悪くなったときと同じように、歯に痛みを感じてから歯科を受診するのが現状です。しかし、水がしみたり、歯が痛くなったりする自覚症状が出る頃には、病状がかなり進行していることが少なくありません。
その結果、抜歯が必要になる可能性も高まります。しかし、早めに処置を行えば、大きな問題になることはありません。
年齢を重ねるにつれて、歯の本数は減少しやすくなります。毎日の歯磨きや定期検診を欠かさず、しっかりと予防に努めていきましょう。
健康な歯を長く保つためにできること
健康な歯が残っている日本人の平均は、80歳でわずか9本。一方、スウェーデンでは80歳で25本が残っています。
なぜここまで差が生まれるのでしょうか。思わず愕然としてしまいます。日本人は歯磨きをしていないのか、歯科医療の技術が低いのか――そうではありません。実は、理由は他にあると考えられます。
徹底した予防が生む差とは
徹底した予防と治療中心のケアの違いは、80歳時の残存歯数に大きく影響しているように思われます。
日本では、歯に何らかの自覚症状が出てから歯科を受診し、治療が終われば通院も終了、というケースが多く見られます。そして数年後に再び症状が出て、同じことを繰り返すというのが現状です。
一方、スウェーデンでは「メンテナンス」を重視しており、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、ならないように定期的な予防処置を行います。この歯に対する考え方の差が非常に大きいのです。スウェーデンでは国家がメンテナンスを義務付けており、95%の国民が自覚症状がなくても歯科医院を訪れます。
日本ではまだ2~3%の人しか予防を実践していません。この差が、80歳時の残存歯数の差につながっているのです。
生涯自分の歯で過ごすために
1日1回の丁寧なブラッシングで歯を守る
虫歯予防のためには、どこを磨くかがとても重要です。簡単に言えば、歯と歯の間を丁寧にブラッシングすること。また、歯周病予防のためには、歯と歯茎の境目をブラッシングすることがポイントです。
歯の丸みを帯びた凸の部分ばかり磨いても、ブラッシングの効果はほとんどありません。凸の部分は、歯ブラシをしなくても虫歯にはなりにくいのです。
20歳を過ぎると、虫歯は必ず歯と歯の隣接部分から発生します。そこをしっかり磨くことが重要です。歯周病対策としては、歯と歯茎の境目を柔らかい歯ブラシで優しく磨くことをおすすめします。圧をかけすぎないことがポイントです。
ブラッシングがしっかりできているか確認するには、舌で歯の表面を触ってみるとわかります。ツルッとしていればバイオフィルムは取れていますが、ザラザラしていればプラークが残っています。歯医者では赤く染め出すことで、さらにはっきりと確認できます。
たかが歯ブラシと思わず、正しいブラッシングを身に付ければ、歯医者に行く回数も減らせるでしょう。
最後臼歯まで徹底ブラッシング
一本一本の歯には平均寿命があります。特に一番奥の歯(臼歯)の平均寿命は42歳とされており、これは42歳になる頃にはおよそ半数の方が奥歯を失っていることを意味します。
つまり、一番奥の歯をしっかりケアすることが、他の歯を守ることにつながるのです。前歯は顔の印象に関わるため、少しでも虫歯になるとすぐに歯医者に来られる方が多いですが、奥歯は形や本数さえ意識されることが少なく、手入れが疎かになりがちです。
しかし、実は奥歯こそが歯列全体の“砦”です。奥歯を失うと、その影響で次々と他の歯も失いやすくなり、食事や発音などの不便さが増していきます。逆に言えば、奥歯を大切にして丁寧にブラッシングすれば、口の中全体の歯を守ることができるのです。
甘いものは控えて虫歯予防
甘いものが歯に悪いことは、子どもの頃から聞いたことがある方がほとんどだと思います。しかし、世の中にはスイーツがたくさんあり、食べると幸せな気持ちになりますよね。特に飴やチョコレートは、テレビを見ながら、ゲームをしながら、つい次々口に入れてしまいがちです。
しかし、この習慣は歯にとっては不幸な結果を招きます。歯磨きをしっかりしている方でも、特に若い女性で歯の間に虫歯ができている場合、「チョコレートや飴は好きですか?」と尋ねると、ほとんどの方が笑顔で「はい」と答えます。砂糖は歯ブラシをしても毛細管現象で歯の間に残り、虫歯を作ってしまうのです。しかも、歯の間に多発するため、非常に厄介です。
甘いものを完全に避ける必要はありませんが、長時間砂糖に歯がさらされる状態は危険です。男性の缶コーヒーや炭酸飲料も同様に虫歯のリスクを高めます。また、のど飴を「のどの薬」と思っている方もいますが、これも砂糖と同じく虫歯の原因となります。
甘いものを摂るとお口の中が酸性になり、カルシウムが溶け出して再石灰化が妨げられるため、虫歯になりやすくなるのです。
定期的な歯医者での検診・クリーニングを受ける
虫歯や歯周病の予防が重要な理由は、大きく分けて2つあります。
1つ目の理由:歯は新陳代謝をしない特殊な組織であること
髪や爪は古いものが新しいものに置き換わり、皮膚や筋肉、血液、骨も日々入れ替わっています。食べたものが骨や筋肉になるのは、そのためです。しかし、歯だけは例外で、新陳代謝が行われません。歯は非常に硬い組織(水晶と同程度の硬度)でできているため、自然に再生することはないのです。
そのため、虫歯や事故で歯が欠けても再生することはなく、人工の金属やプラスチック、セラミックで補うしかありません。つまり、治療をしても「元通りになる」のではなく、あくまで置き換えをしているに過ぎません。何度も治療を繰り返すと、最終的に限界が訪れ、抜歯せざるを得なくなることもあります。
特に歯が痛くなると抜髄(歯の神経を取る処置)が必要になる場合があります。抜髄を行うと痛みは取れますが、同時に血液循環という免疫機構も失われるため、細菌が入り込みやすくなり、歯の寿命に影響することもあります。このように、虫歯は「治療すれば大丈夫」と考えがちですが、虫歯にならないことが最も重要なのです。
2つ目の理由:初期の虫歯や歯周病は自覚症状がないこと
初期の虫歯や歯周病は、痛みや違和感などの自覚症状がほとんどありません。水がしみたり、物が挟まったりする頃には、すでに進行していることが多いのです。これは体にできるがんにも似ています。がんも初期のうちは自覚症状がなく、症状が出てから受診すると進行していることがあります。しかし、早期発見できれば治療成功率は高く、命の助かる確率も上がります。
歯も同じで、命には関わりませんが、その一本一本の歯の寿命には大きく関わってきます。ごく初期の虫歯や歯周病であれば治療は容易で再発率も低いですが、中期以降になると治療が難しくなり、その歯の寿命が短くなります。
私たち専門職が診ると、虫歯や歯周病はより早い段階で発見できます。また、虫歯や歯周病になる前兆や前々兆の段階でも把握可能です。その段階で生活習慣やブラッシングの方法を改善し、口腔内環境を整えれば、虫歯や歯周病を予防することができます。
神戸元町で予防歯科なら【玉川歯科医院】へ
私は虫歯の治療として詰め物(インレー)は口の中に入っていますが、神経を取って被せ物をした歯はなく、一本も歯を抜いたことがありません。このことを患者さんにお伝えすると、「それはスゴイですね」と言われることがあります。しかし、この言葉は私にとって非常に意外なのです。
なぜ意外に感じるのか。それは、多くの患者さんが、前述した4つのポイント(歯は再生しない、虫歯・歯周病の初期は自覚症状がない、予防の重要性、適切なブラッシングや生活習慣の影響)を十分に信じていないからに他なりません。私はこのことに気づいたため、こうして文章を書いています。そして、このことさえ守れば、虫歯や歯周病は大幅に減らせると確信しています。
ウェルエイジングとは、加齢に抵抗するのではなく、加齢と向き合うという考え方です。年を重ねることは自然の摂理であり、加齢にどう上手く付き合うかが大切です。その意味で、加齢に抵抗するアンチエイジングという考え方は、あまり好ましくないと考えています。
皆さんの今ある健康な歯を、私たちと一緒に守っていきましょう。
歯に関するお悩みやご相談は、神戸市の元町駅から徒歩約3分の歯医者【玉川歯科医院】まで、どうぞお気軽にお越しください。
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医療法人社団玉川歯科医院
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