「虫歯や歯周病によって歯を失ってほしくない」という考えの元、当院は予防歯科に力を入れています。
できれば、20代以降の方々には特に意識して取り組んでいただきたいのですが、若い時期には自分の歯についてあまり深く考えないことが多いかもしれません。体調が悪くなったときに病院へ行くように、多くの人は歯に痛みを感じてから歯科を訪れるのが現状です。しかし、水がしみたり歯が痛くなったりといった自覚症状が出る頃には、病状がかなり進行していることが多いです。
そうなると、抜歯が必要になる可能性が高くなります。しかし、早めに処置を行えば、大事に至ることはありません。
年齢を重ねるとともに、歯の本数は減少しやすくなるので、歯磨きや定期検診を怠らず、しっかりと予防に努めていきましょう。
治療後の良い状態を保つためには、適切な歯磨きと定期的な歯医者でのメンテナンスが不可欠です。そこで当院では、患者さまに歯磨きの重要性を理解していただくために、お口の中の細菌を実際に見てもらうようにしています。歯垢を採取し、理科の実験のように顕微鏡を通してその画像を見ていただくと、動く細菌に皆さん驚かれることが多いです。お口の中は食べ物や空気中の菌が溜まりやすい場所なので、歯垢を完全に取り除くのは難しいですが、放置するとバイオフィルムという膜を作り出し、歯磨きだけでは落としにくくなります。このため、日々のセルフケアと定期的な歯科メンテナンスが非常に重要なのです。
どの部分にどれくらいのプラークが溜まっているかを確認し、患者さまにも把握していただきます。
PMTCは、歯科衛生士が専用の器具や機器を使って行う、プロフェッショナルな歯のクリーニングです。普段の歯磨きでは取りきれない歯垢(プラーク)や歯石、着色汚れなどを徹底的に取り除きます。
エアフロー(Airflow)は、歯の表面や歯間のプラークや着色を除去するために使用しています。
高圧の空気、水と専用の微細なパウダーを噴射して、歯の表面のプラークや着色を取り除くクリーニング方法で、歯に優しく、痛みがほとんどないため、安心して治療を受けていただけます。
超音波スケーラーとハンドスケーラーは、どちらも歯石やプラークを除去するための器具です。超音波スケーラーは高周波の音波を利用して歯石を砕き、短時間で広範囲のクリーニングを行うことができます。これにより、歯ぐきへの負担が少なく、治療が快適に進みます。一方、ハンドスケーラーは手動で操作するため、細かい部分や形状に合わせた繊細なクリーニングでき、超音波スケーラーでは取りきれない細かい歯石やプラークを丁寧に除去します。
当院は、歯科衛生士担当制で患者さまの経過を見ていくため、一人ひとりのクセや習慣などに合わせた歯磨きの指導を行っております。
健康な歯が残っている日本人の平均的な数は80歳で9本、スウェーデンでは80歳で25本。
日本人とスウェーデン人はどうしてこんなにも差ができているのでしょうか。私はこの事実に愕然としました。 日本人は歯磨きをしていないのでしょうか?日本人の歯医者は技術が低いのでしょうか?そうではなく、理由は他にありそうです。
徹底した予防か治療かの違いが、80歳の残存歯数にかかわってきているように思います。日本では歯に何らかの自覚症状が出た場合に歯医者に行き、治れば、あと何回通院すればよいかを尋ねて、その通りにすれば終わる。
そしてまた4、5年後に症状が出て、同じことを繰り返す。それに比べて、スウェーデンではメンテナンスつまり虫歯になってから治療するのではなく、ならないように予防処置を定期的に行うことを重要視しています。
この歯に対する認識の差が決定的に 違っています。スウェーデンでは国家がメンテナンスを義務付けているという徹底ぶりです。
つまり95%の国民が自覚症状がないのに歯科医院を訪れるということです。日本はまだ2、3%の人しか予防を実践していません。その違いが、80歳の残存歯数の差を生んでいるのです。
虫歯予防のためには、歯のどこを磨くかは重要です。簡単に言ってしまえば、歯と歯の間を ブラッシングすること。また、歯周病の予防のため、歯と歯茎の境目をブラッシングすることです。
歯の、丸みを帯びた凸の部分ばかりやっていてもブラッシングの効果はありません。凸の部分は、歯ブラシをしなくても虫歯にはなりません。
20才を過ぎると、必ず虫歯は歯と歯の隣り合った部分からなります。そこばかりブラッシングすればいいのです。また、歯周病対策では歯と歯茎の境目の歯肉を歯ブラシするかんじであまり圧をかけずに、柔らかい歯ブラシでのブラッシングをおすすめします。
そして、しっかりと磨けているか確認するには、舌で歯の表面を触ってみることです。ツルっとしていれば、バイオフィルムは取れていますが、ザラっとしていれば、プラークは取れていません。歯医者では、赤く染めだすことで、はっきりと認識できます。たかが、歯ブラシと思わず、全員がきちっとしたブラッシングを身に付ければ、歯医者はいらなくなるでしょう。
一本一本の歯には平均寿命があります。一番奥の歯(臼歯)の平均寿命は42才です。平均寿命とは、42才になれば約半数の人が一番奥の歯をなくしているということです。
ということは、一番奥の歯をよく磨けば、あとの歯は守れることを意味します。前歯は顔の一部のため、とっても大事にします。少しでも虫歯になれば、すぐ歯医者にやってきます。
しかし、口の中の奥の方の歯は、どんな形をして何本あるかさえ、気になることはありません。しかし、実は前歯より大事なのは奥歯なのです。その奥歯が粗末に扱われていることがほとんどです!つまり一番奥の歯は砦なのです。
その歯が失われると次々とその他の歯を失っていき、不便さが増していきます。逆にいえば、その奥歯を大事に考え熱心に歯ブラシすれば、全ての歯が守られることになります。
甘いものは歯に悪いと子どもの頃から言われて知っている方がほとんどだと思いますが、世の中にはスイーツがたくさんあり、食べると、とても幸せな気持ちになります。
とくに飴やチョコレートは、テレビを見ながら、ゲームをしながら、次から次へと口に入れてしまいますよね。
しかし、この行為が歯にとってはとても不幸せなことになっていきます。 歯ブラシをよくしている、とくに若い女性で歯の間が虫歯になっている方に、「チョコレートか飴が好きではないですか」と尋ねると、ニコッとした笑顔が返ってきます。そうなんです、砂糖(シュガー)は、歯ブラシをしていても毛細管現象で歯の間に残り、虫歯を作っていきます。
しかも、歯の間全てに多発するのでやっかいです。甘いものは0にする必要はないと思いますが、長時間シュガーに歯がひたされた状態はとても危険です。男性の缶コーヒー・炭酸飲料も同様に虫歯を多発させてしまいます。
また、のど飴をノドの薬と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、これもシュガーに変わりないのです。
甘いものを間食すると、お口の中の酸性度合が下がり、カルシウムが溶け出すことで、カルシウムの再石灰化が妨げられるため、虫歯になると言われています。
これには2つの理由があります。歯は新陳代謝をしていない特殊な組織であること。
毛髪や爪は、後からどんどん新しいものが生えてきて、古い髪や爪と入れ代わっていきます。皮膚や筋肉、血液や骨なども分かりにくいですが、古いものは壊され、新しいものと入れ代わっています。
食べたものが骨となり、肉となるとはそのことを指しています。
しかし、その中において、歯だけは入れ代わっていないのです。歯はとても固い組織(硬度は水晶並み)でできているため、新陳代謝していないのです。
そのため、虫歯や事故で歯を欠けたりしても再生しません。人工の金属やプラスチックやセラミックに置き換えるだけなのです。つまり、治療していると言っても置き換えが行われているだけで、再生はしていないわけです。何度も何度も治療を繰り返していても最後には限界がきて、抜かなければならなくなってしまうこともあります。つまり、何度も治療していても、限度があるということです。
その際、歯が痛くなると抜髄(神経をとること)をせざるを得なくなるのですが、歯髄(歯の中心部分の神経と血管のある場所)を取るとき、血管も同時に取ってしまいます。その結果、きつい痛みは取れるのですが、血液循環という免疫機構も失われるので、感染(バイ菌の繁殖)の機会が増えて、結果的に歯の寿命に影響することもあります。そのように虫歯は、治療すれば大丈夫と考えがちですが、虫歯にならない方がベストなのです。
メンテナンスを行わなければならない理由の2つ目として、初期の虫歯と初期の歯周病は、自覚症状がないということです。このことを認識することが大事なのです。 虫歯の初期は、水もしみませんし、物が挟まったりもしません。しかし、穴が開いていることもあります。
体にできるガンも初期のうちは、自覚症状はありませんが、何か自覚症状が出てから受診すると結構進んで大きくなっていたりして、手術をしてもその後の生存率が落ちるのだということをよく耳にします。つまり、検診で発見されたガンの方が、命の助かる率が高いということは、よく知られています。
歯もよく似ていて、命までは関係しませんが、その歯一本の命には関わってくると言えます。ごく初期の虫歯、歯周病は治しやすく、再発率も低いですが、中期以降の虫歯や歯周病は治しにくく、その歯一本の生存率は落ちてきます。
私たち専門職が見ると、虫歯や歯周病は、より早い段階で見つかります。その上、虫歯や歯周病になる前兆現象や、前々兆現象も分かりますので、その段階で生活習慣やブラッシングのやり方を改善し口腔内環境を整えておけば、虫歯や歯周病を予防できるのです。
私は、虫歯の治療として詰め物(インレー)は口の中に入っていますが、神経を取って、被せ物をしてはいませんし、一本も歯を抜いていません。このことを患者さんに告げると、「それはスゴイですね」という言葉が返ってきます。この言葉は私にとって、全く意外な言葉なのです。
私がなぜ意外と感じるのか。それは、上記4つを患者さんが信じていないからに他なりません。このことが分かったため、私はこの文章を書いています。そして、このことさえ守れば、虫歯・歯周病は激減するに違いないと確信しています。
ウェルエイジングは、加齢に抵抗するのでなく、加齢と向き合うという考え方です。年を重ねることは、自然の摂理です。したがって、加齢とどう上手く付き合うかが大切で、加齢に抵抗するアンチエイジングというのはあまり好ましくないと考えています。
今ある皆さんの健康な歯を一緒に守っていきましょう!
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